一般貨物自動車運送事業の許可要件②

前回は「モノ(場所)」の要件について確認しました
今回は「ヒト」の要件についてみてみましょう!!

Contents

許可要件~ヒト・モノ・カネとは?

【ヒト】【モノ(場所)】【カネ】
役員営業所資金
運転者休憩・睡眠施設
運行管理者車庫
整備管理者事業用自動車
あらい
あらい

今回は「ヒト」の許可要件を確認していきます!

①ヒトの要件~役員

令和元年11月からの改正点も交えて説明いたします!

①役員が欠格事由に該当していないこと
一般貨物自動車運送事業法5条「欠格事由」が改正され、2年→5年となりました。
該当する場合は5年間は許可申請を受けることはできません。

第五条 国土交通大臣は、次に掲げる場合には、第三条の許可をしてはならない。
一 許可を受けようとする者が、一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者であるとき。
二 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者

一般貨物自動車運送事業法第5条


また、親会社等が欠格事由に該当する場合や、非常勤の役員も欠格事由の判断の対象とされます。

②貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、その法令を遵守すること
役員法令試験を受験し、合格する必要があります。
あらい
あらい

それでは、この役員法令試験の概要をご説明します!

役員法令試験について 東北運輸局の場合

誰が受験するのか

1申請に当たり1名のみとし
個人事業主であれば申請者本人、申請者が法人である場合は常勤の役員が受験します。

いつ・どのように受験するのか

●法令試験は、隔月で実施されます。
●初回の法令試験は、原則として許可申請書等を受理した月の翌月以降に実施することとし、法令試験の実施予定日の前までに、実施予定日時及び場所等を記載した書面を郵送等により申請者あて通知されます。

試験に落ちたらどうなる?

●法令試験を実施した結果、合格基準に達しない場合は、翌々月に1回に限り再度の法令試験を受験できることとし、再度通知する。
●再試験において合格点に達しない場合は、却下処分とする。

出題範囲

①貨物自動車運送事業法
②貨物自動車運送事業法施行規則
③貨物自動車運送事業輸送安全規則
④貨物自動車運送事業報告規則
⑤自動車事故報告規則
⑥道路運送法
⑦道路運送車両法
⑧道路交通法
⑨労働基準法
⑩自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
平成元年2月9日 労働省告示第7号
⑪労働安全衛生法
⑫私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
⑬下請代金支払遅延等防止法

出題方法と合格基準・その他注意事項


○×方式及び語群選択方式で30問。試験時間は50分です。
合格基準は出題数の8割以上です。
資料の持ち込みは不可ですが、関係法令の条文が記載された条文集が配布されます。
(当該資料は書き込み不可。試験終了後に回収。)

条文集は下記リンクから印刷できます。

法令試験条文集(表紙・目次を含め333ページあります)東北運輸局ホームページより

②ヒトの要件~運転者

一般貨物自動車運送事業を始めるにあたり、5台以上の車両が許可要件の一つですので
運転者は最低5人確保しなければなりません。
申請時点で確保できなくても許可証が出るまでに確保できるのであれば、予定として申請することが可能です。

ただし、日雇いや、2か月以内の期間を定めて使用されるものは運転者として選任できません。

③ヒトの要件~運行管理者

運行管理者とは…貨物自動車運送事業輸送安全規則第20条に定められた業務を行う者です。
簡単に言うと、法律に基づき、運行の安全を確保するための業務をする責任者です。

台数に従った人数の運行管理者を選任しなければなりません。
また、事務所には最低1人以上の運行管理者が必要で、他の営業所との兼務はできず、一つの営業所に複数の運転管理者がいる場合はその業務を統括する統括運行管理者を選任しなければなりません。

あらい
あらい

車両の台数と必要な運行管理者の人数は以下の通りです!

台数人数
1-29台1人
30-59台2人
60-89台3人
※以降30台増えるたびに1人ずつ増える

この運行管理者は誰でもなれるというわけではありません。
下記①②いずれかの者です。

運行管理者に選任できる人

①運行管理者試験に合格した者
運行管理者試験センターの試験に合格しなければなりません。
受験資格は以下のとおりです。


①運行管理に関して1年以上の実務経験を有する。
自動車事故対策機構等が行う基礎講習を修了している。

その他の講習認定機関一覧はコチラをご覧ください。
②一般貨物自動車運送事業者・特定貨物自動車運送事業者又は特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に基礎講習1回と一般講習4回の合計5回以上を受講した者
1年1回までしか講習の受講回数はカウントされません。
この実務経験を積みながらですと、試験に合格しなくても運行管理者になることができます。 

④ヒトの要件~整備管理者

道路運送車両法50条で営業所ごとに最低1名の整備管理者を選任する必要があります。

第五十条 自動車の使用者は、自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理させるため、自動車の点検及び整備に関し特に専門的知識を必要とすると認められる車両総重量八トン以上の自動車その他の国土交通省令で定める自動車であつて国土交通省令で定める台数以上のものの使用の本拠ごとに、自動車の点検及び整備に関する実務の経験その他について国土交通省令で定める一定の要件を備える者のうちから、整備管理者を選任しなければならない。

2 前項の規定により整備管理者を選任しなければならない者(以下「大型自動車使用者等」という。)は、整備管理者に対し、その職務の執行に必要な権限を与えなければならない。

道路運送車両法50条

運行管理者と同様に、整備管理者も一定の要件が必要です。
下記①②いずれかの者です。

①整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車(※1)の点検若しくは整備(※2)又は整備の管理に関する2年以上の実務経験(※3)を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修(※4)を修了した者であること
※1「整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車」とは、
① 二輪自動車以外
② 二輪自動車の2種類です。
「同種類の自動車」ですので、自動二輪の整備経験のみではトラックなどの車両の整備管理者になることはできません。


※2「点検又は整備に関する実務経験」とは
① 整備工場、特定給油所等における整備要員として点検・整備業務を行った経験(工員として実際に手を下して作業を行った経験の他に技術上の指導監督的な業務の経験を含む。)
② 自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行った経験

※3「整備の管理に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
① 整備管理者の経験
② 整備管理者の補助者(代務者)として車両管理業務を行った経験
③ 整備責任者として車両管理業務を行った経験

※4「地方運輸局長の行う研修を修了した者」とは、運輸支局毎に実施している「整備管理者選任前研修」を受講・修了した方をいいます。研修は2時間程度で試験はありません。
②一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること

実務経験証明書について

実務経験2年以上の証明が必要ですので、以前在籍していた会社から証明してもらう必要があります。

2年以上の実務経験を証明するのに複数の会社がある場合は合算することは可能ですがそれぞれの会社からの証明をもらうことになりますので許可申請の調査と同時に早めに取り掛かりましょう。


まとめ

整備管理者も運転管理者も許可を取るためには必要な人員です。
特に整備管理者については実務経験の証明が必要ですので、運送業許可取得の際は早めに整備管理者を確保することが大切です。

運送業許可の手続きでお困りの場合は是非お問合せ下さい。


     

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