一般貨物自動車運送事業の許可要件①
青森県八戸市の行政書士あらいです。
前回は一般貨物自動車運送事業を始めるまでの全体的な流れを確認しました。
これから手続きについての詳細を記事にしていこうと思います!
まずは許可に必要な要件から確認していきましょう~!
Contents
許可要件~ヒト・モノ・カネとは?
前回、許認可の要件は「ヒト・モノ・カネ」と言いましたが、詳しい内容はコチラです。
【ヒト】 | 【モノ(場所)】 | 【カネ】 |
---|---|---|
役員 | 営業所 | 資金 |
運転者 | 休憩・睡眠施設 | |
運行管理者 | 車庫 | |
整備管理者 | 事業用自動車 |
①モノ(場所)→②ヒト→③カネの順番で解説していきます!
①モノ(場所)の要件~営業所と休憩睡眠施設
いい物件が見つかったから、早く契約しなきゃ!!
ちょっと待ってください!その土地・建物が許可要件に当てはまるか確認していますか?
まずは営業所の要件から見ていきます。
①使用権限を有していること
●自己所有の場合→登記簿謄本等所有者として記載があること。
●賃貸物件の場合→契約期間が2年以上あること。物件表示(位置、面積)のある賃貸借契約書の添付又は提示で、使用権原を確認します。
賃貸借の契約期間が二年に満たない場合は、契約期間満了時に自動的に更新される場合に限り使用権原を有するものとみなされます。
(賃貸借契約書に記載があること)
賃貸借契約書の使用目的はどうなっていますか?
「貨物自動車運送事業の用途」として使用することができるか確認と交渉が必要です。
②都市計画法、農地法、建築基準法等関係法令の規定に抵触しないこと。
都市計画法
用途地域による制限があります。
●市街化調整区域の場合→原則設置不可となっています。
●〇〇住居専用地域→市町村の担当部署に都市計画に関する照会をかけたり、連絡調整を図ることが必要です。
また、新しく営業所を建設する等の場合には建築確認が必要になります。
農地法
建物が建っている場所が「農地」だと認められません。
登記簿上の地目の確認が必要です。
場合によっては、所有者の協力を得て農地転用をすることが必要です。農業委員会の許可が必要となりますが、月に締切日が設けられていますので、すぐに許可がもらえるわけではないということにご注意ください。
詳しくは農業委員会や、市町村の建築審査の担当者に確認してみましょう。
③規模が事業計画に対応して適切なものであること。
④必要な備品を備えているなど、事業遂行上適切なものであること。
営業所には面積や設備の要件はありませんが、点呼をしたり、営業活動を行うのに設備は必要です。
例)机・パソコン・書類保管棚・電話・アルコール検査器など
申請の際は営業所に必要な備品等が備えられていることが確認できるように、写真を添付します。
休憩睡眠施設では
「睡眠を与える必要がある運転者1人あたり2.5㎡以上の広さ」が必要です。
運転者に睡眠を与える必要のある運行がない場合は面積要件はありません。
営業所に休憩睡眠施設を併設する事業者様は多いですが、営業所に併設しない場合は車庫に併設することになります。
また、営業所と睡眠施設は別々の部屋である必要はありませんが、運転者の休憩したいときにそれができないと、巡回指導や監査時に指摘されますので、パーテーションなどで区切りをつけておくことをお勧めします。
契約時に口頭で「事務所使用大丈夫です」等と言われても、それを裏付ける書類などは必ずチェックしましょう。契約したあとに、「許可が下りなかった」ではお金も時間も浪費してしまうことになってしまいます。
とにかく慎重に、確認していくことが大切です。
②モノ(場所)の要件~車庫
①使用権原を有していること
営業所と同じです。
②都市計画法、農地法、建築基準法等関係法令の規定に抵触しないこと。
屋根付きの車庫の場合、建築基準法や、消防法等による要件も満たす必要があります。昔のように屋根付き(有蓋)でなくても大丈夫です。
農地法については営業所と同じで、「田・畑」は認められません。
③原則として営業所に併設するものであること。
ただし、併設できない場合は、当該営業所からの直線距離が、5キロメートル以内に設置されるものであること。(東北運輸局の場合)
④ 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画車両数すべてを収容できるものであること。
今後車の台数を増やしていくことが明らかである場合には、それを踏まえた面積の土地を準備しておくことをお勧めします。
積載トン数によって必要面積もかわりますので、チェックしておきましょう!
⑤他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。
事業用自動車を適切に収容することができることが確認できる写真の添付をもって、他の用途に使用される部分と明確に区画されていることを確認されます。
例えば、運送事業に使用しない車両の駐車場や資材置き場等とは区別する必要があります。
⑥前面道路については、原則として幅員証明書により、車両制限令に適合すること
前面道路とは車庫から一番近い公道のことです。
公道に出るまでに私道がある場合は、その私道を通り過ぎた先にある公道が「前面道路」となります。
車両制限令による道路の2種類
①市街地区域内の道路 車両制限令5条
②市街地区域外の道路 車両制限令6条
市街地区域内の方が交通量が多いため、規制が厳しくなっています。
道路管理者から幅員証明を取得してください。
③許可要件~事業用自動車
① 計画車両の大きさ、構造等が輸送する貨物に適切なものであること。
●営業所毎に配置する事業用自動車の数は種別ごとに5両以上。
車検証上の用途が「貨物」になっている1,4,8ナンバーです。
●計画する事業用自動車(以下「計画車両」という。)にけん引車、被けん引車を含む場合の最低車両台数の算定方法は、
けん引車+被けん引車を1両と算定します。
●霊きゅう運送の場合1台以上です。
② 使用権原を有するものであること。
自己所有→車検証の写し
リース車両→契約期間は概ね一年以上とし、当該契約に係る契約書の添付又は提示が必要
購入車両→売買契約書・売渡承諾書などが必要です。
まとめ
まずは「モノ(場所)」の要件を確認しました。
たくさんの法律の規制がありましたね。
一番大変なのがこの「モノ(場所)」の要件の確認ではないでしょうか。
ちょっと不安だな…と感じたら、関係各所に問い合わせを行ってくださいね。
ここに注意!
「モノ(場所)」の要件は慎重に確認を。
「大丈夫です」は本当に「大丈夫」ですか?裏付けとなる書類などで必ず確認をしましょう。
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